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本の概要:株式投資-長期投資で成功するための完全ガイド- /ジェレミー・シーゲル
「株式投資-長期投資で成功するための完全ガイド- /ジェレミー・シーゲル」をご紹介します。投資対象としての株式と、その長期投資について、多くの示唆が得られる書です。
【目次】
第1部株式投資の歴史的評価
第1章 1802年以降の株式、債券の投資利回り
第2章 リスク、リターン、資産配分
第3章 株価指数
第4章 S&P500指数
第5章 株式と債券利回りに与える税金の影響
第6章 株式投資の見通し
第2部 価値、スタイル、グローバル市場
第7章 株式 ー市場価値の源泉と基準ー
第8章 経済成長の影響と高齢化
第9章 市場に勝つ
第10章 国際投資と中国やインドをはじめとする新興市場の台頭
第3部 経済環境は株価にどのような影響を与えるか
第11章 金(ゴールド)、金融政策、インフレ
第12章 株式と景気循環
第13章 世界的な事件が金融市場に影響を与えるとき
第14章 株式、債券と経済指標
第4部 短期的な株価の変動
第15章 上場投資信託、株価指数先物、オプションの興隆
第16章 市場のボラティリティ
第17章 テクニカル分析とトレンド投資
第18章 季節のアノマリー
第19章 行動ファイナンスと投資の心理学
第5部 株式と富を築く
第20章 ファンドのパフォーマンス、インデックス投資、市場に打ち勝つこと
第21章 長期投資のためのポートフォリオ構築
株式の長期投資で成功するためのガイド
もっと昔に発行されたものだと思い込んでいましたが、第1版が2009年、その後、版を重ね、改訂されながら現在は第4版になっています。
いわゆる銘柄の選定手法や、投資テクニックを教える本ではないです。むしろ、選ばないこと・売買しないことが最高である、ということを教えてくれています。
株について馴染みのない初心者が読むには抽象度が高く、少し難しいかもしれませんね。また、売買して利益を作りたい投機家にも得るところが少ないかもしれません。
根底に流れているテーマは、あらゆる投資対象の中で株式が一番優れている(高いパフォーマンスを上げている)、それについて「これでもか!」というくらいバックデータを示しながら表現している、そんな本だと思います。
「株式は売買で利益を上げるもので放置なんて信じられない」、という意見の投資経験者が株式コミュニティなどでも幅を利かせているのが現状だと思います。
そういう意見を目にしていると、長期投資をスタンスにしているのは損なのかな?間違いなのかな?そんな思いに駆られることもあると思うんですね。
バフェット流のバリュー投資、長期投資、長期の資産形成を目指している人が、「本当に株でいいのだろうか?」と心もとなくなった時に勇気づけられる本、と言ってもいいかもしれません。
オススメ!Youtubeの要約
第1部 第1章からすごいインパクト
1929年の事例が紹介されています。
「一般人が株式投資で富を築く方法」として、ゼネラル・モーターズの財務担当役員ラスコフは、当時は米国の工業化が飛躍的に進展しつつあり、「毎月15ドルの優良株への投資が20年後には着実に8万ドルになる」と語った。1929年9月3日、ラスコフのインタビュー記事が掲載されてから数日後、ダウ工業平均は歴史的高値381.17ドルをつけたが、その7週間後には暴落、続く34ヶ月間で、株価は米国の歴史でも類を見ないほど大幅な下落を記録した。1932年7月には、米国の優良企業の株式価値は89%も低下。
株式投資につぎ込んでいた貯蓄は吹き飛び、借金をして株式を買っていた投資家は破産、未曽有の大不況に陥りました。ラスコフは、株価は永遠に上がり続けると猛進した愚か者と評価され、株価がピークにあるときに買いを勧めたことが暴落を招いたと責任を追及されました。
フォーブスは「大衆の妄想と群衆の狂気」という記事で、ラスコフを「株式投資を、富を保証する道具と断言した断言した最悪の犯罪者」と名指ししました。
たしかに、ピークから89%もダウンした投資家の阿鼻叫喚といったら、それはもうひどい有様だったと思います。これは現代であっても、変わらないでしょうね。しかし、この書籍の中では次のように続いています。
ラスコフの助言に従い、毎月15ドルの投資を辛抱強く続けていれば、実は4年以内に短期国債(財務省短期証券)を超える利回りを手にすることができたのだ!投資元本は1949年には9000ドルにまで膨らみ、年率利回りは7.86%と、債券の2倍以上になっていた。30年後には6万ドルを超え、年間利回りは12.72%に上昇したはずだ。ラスコフが予想した利回りには及ばないが、この30年間にわたる株式投資によるトータルリターンは長期国債の8倍以上、短期国債の9倍以上であった。株価暴落の危険性を理由に株式投資を拒んだ投資家たちは、辛抱強く株式を買い増ししていった投資家に大きく遅れをとったのである。
歴史的に高水準な株価のところから始めても、十分な利回りが期待できる、ということは現代でも通じる貴重な教訓ですね。30年の投資スパンで運用するならば、断然に株式だということ。
まとめ
長期の株式投資に自信が持てるようになる、そんな1冊です。