iPhone受託製造のフォックスコン、新たな成長機会でEVに照準
記事を要約すると以下のとおり。
米オハイオ州北東部にある元ゼネラル・モーターズ(
GM)工場。当初の施設売却先であるスタートアップ企業のローズタウン・モーターズは、今年6月に米連邦破産法11条の適用を申請するまで数年間、電気トラックの製造に苦戦していた。彼らは時代遅れの機器を処分。 一日の終わりに米国人労働者の何人かは近くの飲食店に向かう。数年後、工場に仕事はあるだろうかなどといった疑問だ。同社はグーグル「Pixel」やアマゾン・ドット・コムの「キンドル」のほかに、アップル「iPhone」のおよそ3台に2台を製造している。しかし、多くの電子機器、特にスマートフォンの市場は成熟しつつあり、売上高は伸び悩んでいる。台湾企業としての脆弱(ぜいじゃく)性をあらためて浮き彫りにした。同社は現在、電気自動車(EV)製造業者への転換を図る計画の一環として、ローズタウンをはじめとする世界各地の拠点で自動車生産ラインの設置を進めている。 これはまったくユニークなアイデアではない。組み立てロボットPhotographer:RossMantleforBloombergBusinessweek 少なくともテスラ以外の全ての自動車メーカーを悩ませているEVへの移行に伴う問題の多くは、製造を外部に委託することで解決できるというのが、フォックスコンの主張だ。リビアン・オートモーティブなど新規参入に成功した企業も生産目標を大きく下回っている。9月と10月には、全米自動車労組(UAW)がGMとフォード、クライスラーの親会社ステランティスに対し各社経営陣は、人件費が1ドル増えるごとに電動化計画の達成はより難しくなると主張した。広い意味では、EVには1万5000個の部品が使われている。政治的な背景もより複雑だ。 約120万人の従業員を抱えるフォックスコンは、ウォルマート、アマゾンに次ぐ世界3位の民間雇用主だ。ある顧客からの注文が途絶えれば、部品を別の場所に振り向けることができ、中小メーカーが太刀打ちできないような深いサプライチェーンを構築している。それから間もなく、コンパックやデルのコンピューター向け外部ケースを供給するようになり、マザーボードなど内部部品がそれに続いた。スティーブ・ジョブズ氏が2007年に郭氏に採用された。急速に昇進を重ね、16年には半導体事業のトップに就任。米史上で最も成功した消費者向け製品であるiPhoneを、なぜライバルの超大国で製造しなければならないのかといった疑問だ。 トランプ氏は選挙の激戦区であるウィスコンシン州に照準を定めるよう提案。劉氏は、およそ1000人の従業員を抱える同工場について、最終的にはフォックスコンのEVサプライチェーンの一部になるだろうと語った。「現地の労働プロセスや政府にどう対応するかを心得ている」と話す。「自前でやろうとすれば、競争するのは極めて難しくなる」と指摘する。「携帯電話機に何か問題が起きても再起動すれば済むが、時速100マイルで走る車を再起動することはできない」と語った。カリフォルニア州リバモアに本社を置くモナークは昨年、16のメーカーを評価した後にこの工場を委託先に選んだ。モナークの自動走行型トラクター「MK-V」Photographer:RossMantleforBloombergBusinessweek 派手さはないが、MK-Vには明らかな魅力がある。 フォックスコンの事業計画は、スマートフォンから多角化しつつ、新興技術を活用するよう設計されている(アナリストの推計によると、同社の電子部品と組み立てによる総収入の約半分をアップル向けが占める)劉氏はこの戦略を「3プラス3」と呼ぶ。2つ目の3は基盤技術である人工知能(AI)と半導体、電気通信だ。フォックスコンは昨年、タイでEV工場を着工し、年間15万台の生産を目指している。 結局のところ、これらの工場は完成車ではなく部品生産で利益の多くを得ることになるかもしれないと、フォックスコンを研究するシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの経済学教授、謝長泰氏は指摘する。ティム・クック最高経営責任者(CEO)の下、アップルは約10年前から自動走行型EVを製造するプロジェクトに取り組んでおり、20年代の終わりまでに自動車を提供する可能性があるとブルームバーグ・ニュースは伝えている。 大きな不確実性は残っている。 だが、もしフォックスコンがEVを大量生産できる自動車部門を立ち上げれば、製品名がどうなるかにせよ、これ以上明白なパートナー候補は想像し難い。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース iPhone受託製造のフォックスコン、新たな成長機会でEVに照準