黒田総裁の壮大な1550兆円相当の実験、出口は植田氏に託す-8日退任
記事を要約すると以下のとおり。
日本銀行の黒田東彦総裁は2013年3月の就任後間もなく、2年程度の期間を念頭に2%の物価安定を目指す「衝撃と畏怖」型の異次元金融緩和を打ち出した。企業は生き延びたが、ゾンビ企業も残った。日本経済はプラス成長を確保したものの、伸び率自体は主要国でイタリアに次いで小さかった。植田次期総裁には黒田氏の日銀総裁としての10年間をどう評価するか単刀直入に尋ねたところ、成功と答えたのは56%。海外からの評価は高く、日銀の手法を踏襲した世界の主要中銀も多い。 インドのベンガルールで2月下旬に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相や中銀総裁会議では、各国・地域の財務相・中銀総裁が立ち上がり、最後の参加となった黒田総裁に拍手を送る場面があった。「夕食を共にしながら文化や経済、政治について話し込んだのは常に楽しいひとときだった」とも振り返った。素晴らしい業績だとコメントした。また、長期金利を抑え込む政策も経済の万能薬にはならなかった。物価上昇率が持続的に2%を上回るとはなお見込んでいない。残念なことの一つとして、「市場が政策効果の重要な波及経路であるにもかかわらず機能を阻害してしまった点を挙げた。」米連邦準備制度とECBはいずれもYCCを検討したものの、導入は見送った。日銀が利回り操作目標の防衛に向けて国債購入をさらに強化した結果、流動性は一段と低下。 サマーズ元米財務長官から日本のベン・バーナンキ氏(元連邦準備制度理事会議長)と評された植田氏はこれまでのところ、黒田総裁の政策を急いで転換する必要はないとの認識を示し、当面は金融緩和を継続する考えを表明している。国債買い入れを継続しつつ、利回りのコントロールを撤廃する可能性も選択肢の一つとして指摘されている。オーストラリアとオランダが最も影響を受けやすい市場の一角だろう。黒田総裁就任以降、国債発行残高は40%増加したが、超低金利のおかげで年間の債務返済コストは9%増にとどまった。「植田新総裁の一番大きな使命は大惨事を引き起こさないことだ」と語る。 他方で、物価上昇率が再び勢いを失ったり、逆にインフレが行き過ぎて手に負えなくなったりして、植田次期総裁が良好な市場を維持できなければ、植田氏と共に黒田総裁の評判も落ちることが考えられる。今、野球でいう何回なのか分からないが、植田氏がホームランを打てれば素晴らしいと述べた。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 黒田総裁の壮大な1550兆円相当の実験、出口は植田氏に託す-8日退任