「CDを売る」というビジネスモデルは、いつ始まったのか? エジソンが初期の蓄音機を発明したのが1880年頃、ラジオ放送の始まりが1900年頃、アメリカでレコード産業が、産業として認知され始めたのは1900年代前半。
1960年頃のエンターテイメント、レコード産業については映画「ドリームガールズ」や「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」で描かれてます。ネタバレになりますが、レコードをヒットさせるための方法としてラジオDJを買収してヘビーチューンさせるエピソードが使われています。
ブラジルを舞台にした「フランシスコの2人の息子」という映画でもゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノという実在のカントリーミュージックのミュージシャンは同じ方法をとっていました。
流行って、お金を使って生み出すものなんですね。 正しいことをしていれば、誰かが見つけてくれる。良いものを作って創って造っていれば必ず報われる、というものではない、ということ。 流行した結果、真摯に作られたものなんだ、と評価を高めることがあるとしても。逆はないです。
CDは1982年に発売され、1984年にソニーがポータブルCDプレーヤー”D50”を発売して爆発的に普及が始まりました。
この頃のことはよく覚えています。
自分は当時中学生で、ブラスバンドでチューバを吹いていました。
顧問が若い男の先生で仲が良かったので、友達感覚で所属していたのです。その先生が早速、そのソニーのCDプレーヤーを買いました。
借りて家に持ち帰り、オーディオに繋いで聴いてみたときの感動は今でもよく覚えています。
レコードを聴くときの”パチパチ”というノイズがない澄みきったサウンドに感動しました。
当時はもちろんレコードが主流だったところ、CDへと切り替わっていく様子を目の当たりにしました。街のレコードレンタル店が、次々にCDレンタル店へと変わりました。レコードレンタル店って知ってますか?
VHSのレンタルビデオ店が、次々にDVDレンタル店に変わりましたね。およそ30年前の出来事です。TSUTAYAもそのころ出てきた企業ですね。社会の当たり前なんてあっという間に変わります。
それも、かつての50年や30年といった時間間隔ではなく、もっと早い間隔で。
「CD・DVDを買う、借りる」ということでさえ、ダウンロード、ストリーミングという形に、すでに変化の時を迎え、久しいです。昨日の成功モデルが今日の成功モデルではないし、今日の成功も明日はどうなるか分からない世の中になりました。
話が逸れました。後にSONYの方が述懐しているそうですが、このD-50は原価率200%だったそうです。売れば売るほど赤字。たぶん卸値はもっと下に設定しますから、恐ろしいほどの出血です。しかし、CDを普及させるために、プレーヤーが普及することが必要だったのですね。
どこかで、似たような話が?
そうだ、Yahoo!BBを普及させるときにADSLモデムを無料で配ったソフトバンク・孫正義さんの逸話です。本当にいいもの、必要なものを普及させるときでさえ、流行を作ることが必要だし、お金を使わないとできない、ということですね。