岸田文雄首相が日本銀行の次期総裁に植田和男氏を指名したことを受け、金利の影響を大きく受ける社債市場の関係者も金融政策の先行きを見極めようとしている。
市場では先週初めに現副総裁の雨宮正佳氏に総裁就任を打診したと報じられたことから、同氏の下で現在の政策修正で10年ゾーンの上乗せ金利(スプレッド)は今よりあと「10-20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大する可能性がある」とみる。
植田氏起用のサプライズ人事が伝わった前週末10日夜、同氏は記者団に対し現在の金融政策は総裁独りで決めるわけではないため就任後も同じ発言を続けていくのか「まずは見ざるを得ない」と話す。
雨宮氏の総裁誕生に向けて織り込んできたものがいったん「白紙になる」ため改めて政策運営を見極める必要があり、社債投資は当面やりにくいと述べた。
売りが一巡した最近は需給が好転してきたとの見方が増えていたが、再び金利変動リスクが高まると需給は悪化方向に戻る可能性もある。
大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストも「拙速かつ微修正を繰り返す小出しな金融引き締めはなさそうだ」との見方だ。
みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは13日付リポートで、副総裁に内田真一理事と氷見野良三前金融庁長官を起用することを含めた今回の人事案は、金融市場が期待する「市場とのコミュニケーション」と金利上昇などによる「金融システムの安定性」に「目配りすることを企図しているようにみえる」と評価した。
植田日銀総裁で社債への影響は、政策修正見越しスプレッド拡大も
記事を要約すると以下のとおり。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 植田日銀総裁で社債への影響は、政策修正見越しスプレッド拡大も