トランプ氏が政権構想明かす、経済・防衛・外交網羅-FRB議長運命は
記事を要約すると以下のとおり。
ブルームバーグ・ビジネスウィークは6月25日、トランプ前米大統領に単独インタビューした。 そして、7月13日にはペンシルベニア州バトラーで集会に臨んでいたトランプ氏が返り咲いて保護主義的な貿易政策を講じる確率が高まっているとして、インフレ高進見通しを警告し始めている。 欧州やアジアの民主主義各国・地域は、トランプ氏は自身の経済政策「トランプノミクス」の要点は「低金利と低課税」だとし、「事を成し遂げ、ビジネスを米国に回帰させる多大なインセンティブとなると話す。 トランプ氏はエネルギー資源の採掘拡大や規制緩和を推進し、メキシコとの国境の警備を強化する方針だ。端的に言えば、米経済を再び偉大にする考えだ。パウエル議長の任期は2026年5月までで、トランプ氏は「彼に任期を全うしてもらうつもりだ」として、「彼が正しい政策運営を行っていると考えられる場合は特にそうだと語った。 また、法人税率を現行の21%から最低15%に引き下げでも受け入れる意向を表明。 また、昨年の時点で「非常に過大評価されたグローバリスト」と攻撃していた米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)について、自身の考えを変えたことも明らかにした。 台湾を中国の脅威から防衛することなど、長期にわたる米外交政策方針にも疑問を呈する姿勢を表明。 台湾防衛についてのトランプ氏の懐疑的な姿勢は、実際の防衛に当たっての難しさや、米国の保護に対し台湾が経費を負担してほしいとの願望などに根ざしている。彼らはとてつもなく裕福だと論じた。新たな要素はそれを実施するに当たってのスピードと効率性だ。共和党全国大会初日の15日夜には「富」がテーマとなった。 既に複数の世論調査では、食品や住宅、ガソリンなどの歴史的な価格高騰を苦にした黒人やヒスパニック系の男性が共和党にシフトしつつある兆候が見られる。 トランプ氏は米経済や世界のビジネス環境、同盟国・地域との貿易関係を形作る上で前例のない影響力を手にすることになる。トランプ氏に行ったインタビューで一つ鮮明になった点があるとすれば、同氏はこうしたパワーを十分に認識し、それを活用しようと心に決めていることだ。トランプ氏は、バイデン大統領の経済運営責任をこれまで繰り返し批判してきた。 3番目は移民だ。支持獲得を切望するマイノリティー(人種的少数派)に特に恩恵をもたらすという意味もある。賃金はだんだん減り、仕事を不法移民に奪われているとトランプ氏は主張する(労働統計局によれば、2018年以降の雇用増の大半は移民ではなく、市民権を得た人々と合法的な居住者だ) トランプ氏の言葉は終末論的になる。私はそれを止めたいと訴える。関税はさらにインフレを助長し、経済成長が鈍化する恐れがあると評価する。オックスフォード・エコノミクスの米国担当首席エコノミスト、バーナード・ヤロス氏は大統領在任中の2017年に成立した税制改革法を更新し、法人税をさらに引き下げることを望んでおり、同氏や彼のアドバイザーが説明しない手法がどんなものであれ、それは財政均衡を描き出すものではない。保護主義的政策の結果としてエコノミストが予想する金利上昇圧力も相まって、国の膨らむ債務負担をさらに増大させる恐れがある。規制の敵意がむき出しなケースさえあると指摘し、バイデン政権による液化天然ガス(LNG)プロジェクト停止をその例として挙げた。多くのトップ経営者と定期的に話をしているイエール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授は、「彼らはトランプ氏に我慢ならないと言う。」超党派のロビー団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が主催したこの集まりでトランプ氏は、長い間難しい関係にあった数多くの企業リーダーと対面。クック氏は「わが国の歴史における悲しく恥ずべき一章」と呼んだ。 トランプ氏は米企業経営者たちとの関係のあり方についてきわめて敏感で、彼らの支持を望むか、それとも彼らを自分の意のままにしたいのかで揺れ動いている。(その後、イーロン・マスク氏が資金面での支援を表明した)トランプ氏について「著しく話があちこちに飛び」、「支離滅裂」と非難したあるCEOの匿名コメントを取り上げたことに、まだ頭を抱えている。「自分が愛されていないときは誰よりも自分がそれを感じる」からだという。コミュニケーションをオープンに保つことについて前大統領と話したと説明した) トランプ氏は、自身の政権が2017年に法人税率を「39%から21%に」(実際には35%から21%)引き下げたことを会合に集まった幹部らに思い出させ、さらに20%まで引き下げると宣言したと説明。 しかし、CEOたちがどのような「愛」を示したとしても、それは結局のところ私利私欲に基づくものであることもトランプ氏は認識している。連邦議会議事堂襲撃でトランプ氏が大統領候補に躍り出たことに衝撃を受け、落胆した。 「みんなが状況を読み違えていたと話すのは共和党のビジネスロビイスト、リアム・ドノバン氏だ。」人々は新しい時代に移る機会と思って実現しようとしたがならなかった。しかし嫌いなCEOを仕返しするのかとマールアラーゴで問われた際には「誰に対する報復も考えていない」と答えている。トランプ氏は企業からの批判や敵が多い割に、役員クラスやウォール街からの支持がないわけではない。マーケットは好調だったし実質賃金は上昇し、とても良い時代だったと振り返る。「彼は北大西洋条約機構(NATO)や移民問題についてある意味、正しかった。」「対中政策のいくつかは正しかった」。トランプ氏は「彼は私が検討すべき人物だ」と発言している。ベセント氏も財務長官候補だ。そしてトランプ氏の返り咲きに不安を感じる経営者は多い。「報復があることを大いに恐れているからだ」。 トランプ氏は関税を撤廃するよう頼みに来るとし、交渉を有利に進められると説明。バイデン氏はさらに、鉄鋼やアルミニウム、半導体、電気自動車(EV)、バッテリーなどの関税を引き上げた。そして欧州の同盟国などに対しても同様の措置を講じる構えだ。しかし私はその全てを、その文化を変えつつあったと述べ、大統領に返り咲けば仕事をやり遂げる考えを示した。 同氏の懐疑的な態度の一部には、経済面の不満がある。彼らはとてつもない富を得ていると発言。なぜわれわれはこうしたことをしているのかと問いかけた。中国からは68マイル離れているとトランプ氏の見解はより友好的だ。過去半年以内にムハンマド皇太子と話をしたと述べたが、そのやり取りの性格や頻度に関しては詳しい説明を控えた。彼らは中国と一緒にいる。しかし、彼らは中国と一緒になりたいわけではない。多額の金がかかっているのだ。シリコンバレー トランプ氏は大統領在任中とその後、米テクノロジー業界を頻繁に標的にした。 トランプ氏の攻撃は、必ずしも政策や主義主張を厳格に反映したものではない。同氏の関税案と同様、少なくとも企業やCEOが応じざるを得ない交渉上のポジションを確保するためのてこのような役割を果たしてきた。「テック企業はあまりにも巨大になり、力を持ち過ぎており、特に若者たちに深刻な悪影響を与えている」と同氏は主張している。トランプ氏はこれを選挙キャンペーンに利用し、ソーシャルメディア企業に「若者をだめにしてほしくない。」 しかし、しばらくすると、トランプ氏が望んでいるのは、そうした米企業に対する重要な防波堤として、同じプラットフォームの多くを擁護している。猛然と追及すれば、損なわれるかもしれない。トランプ氏は「今の考えでは、TikTokを支持している。」われわれには競争が必要だからだ。同氏は、21年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を受けてフェイスブックが同氏のアカウントを凍結する決定を下したことになおも根に持っている。自身の方針転換を政策的な必須事項だと位置付け、「われわれがやらなければ、中国がその方法を見つけ出すだろう。」 仮想通貨の破滅を招くジョー・バイデンの改革を阻止すると宣言。その翌月にはマールアラーゴで開いたビットコインのマイニング(採掘)企業数社との資金集めイベントで成果を挙げている。FRB、経済、その他世界中の重要な問題についてもそうだ。暗殺未遂事件を乗り越えたこともあり、すでに強固だったトランプ氏の政治的不可侵性をさらに強めた可能性がある。「多くの州が今まさに結果を発表し始めているが、非常に大きな波が起きている」。民主党の候補者リストのトップに立つ可能性があるとされているカマラ・ハリス副大統領についても、「あまり違いはないだろう。」 とはいえ、バイデン氏の討論会での失態の数日前、マールアラーゴに戻ったトランプ氏は10月に入会金を70万ドルに引き上げ、新たな会員枠を4つ設けると話した。 インタビューの最後、トランプ氏は自慢げに「トランプはすべてにおいて正しかった」と書かれた帽子をブルームバーグ・ビジネスウィークに贈呈しようとした。最終的に判断するのは有権者だ。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース トランプ氏が政権構想明かす、経済・防衛・外交網羅-FRB議長運命は